サッカー選手の価値

2020年1月25日

 皆さんは「サッカー選手の価値」がサッカークラブの財務諸表にどのように表されているか、ご存知でしょうか?

今回は、移籍してきたサッカー選手がどのように経営に影響を与えるかについて書きたいと思います。

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移籍してきた選手がどのように会計処理されるか

 他のクラブから獲得した選手は、相手クラブに支払った移籍金の額が、資産としてクラブの財務諸表にあらわれます。さらに契約年数によって減価償却されます。つまり、サッカー選手の価値が財務諸表に資産として表されるわけです。一方で、ユースからそのままトップチームに昇格してプレーしている選手は、バランスシートには何も記載されません。

 具体的に言えば、イングランドのサッカークラブでは、選手登録権(players’registrations:以下PR)の獲得に要した金額は無形固定資産として、貸借対照表上に計上されます。そして、当該クラブは、契約期間内は契約選手を独占的にプレーさせる権利を有します。無形固定資産であるため、契約期間にわたって償却を行います。また、減損処理の対象にもなります。(中野 誠(2016)『戦略的コーポレートファイナンス』日本経済新聞社.より)

具体的な選手の例

 例えば、前鹿島アントラーズで2018年にフランストゥールーズに移籍した昌司源選手や、2017年にスペインテネリフェに移籍した柴崎岳選手は生え抜き選手でしたから、鹿島時代は財務諸表に表れてこなかったわけです。世界で最も有名な例を挙げると、セリエAのACミランで40歳までプレーしたパオロ・マルディーニは、セリエA史上最多出場647試合という金字塔を打ち立てましたが、ユースから引退までミラン一筋だったため、会計上は生涯値段がつかないままでした。(日経新聞2013年1月25日より)


 リオネルメッシは2019年シーズン開幕時点でバルセロナ所属で生え抜きですから、バランスシートには乗らないわけですね。あんな大選手が、今のところ財務諸表上には価値は現れません。しかし、クリスティアーノロナウドはユベントスが大金をレアルマドリードに払って獲得しましたので、しっかりと財務諸表に乗っています。

 また、PRは損益計算書にも登場します。選手登録権売却利益(profit on disposal of players’ registration)が営業利益の多くを占める場合もあり、主要な利益源泉となる場合もあります。

 経営資源には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」があります。従来、起業財務の世界では、「モノ」「カネ」が明示的に扱われ、重要視されてきました。しかし近年、最大の差別化要因は「ヒト」あるいは「ヒト」に付随する「情報」であることが指摘されていいます。

サッカーチームは、ヒトの価値が財務諸表に表れる最たる例ですが、企業経営もヒトの価値がますます重要になってきています。 次回以降で、具体的なチームを取り上げた時は、無形固定資産にも注目しながら、チーム経営を分析していきたいと思います。

まとめ

他のクラブから獲得した選手
相手クラブに支払った移籍金の額が、資産としてクラブの財務諸表にあらわれる。
契約年数によって減価償却される。

ユースからそのままトップチームに昇格してプレーしている選手
バランスシートには何も記載されない。