スポーツチームの財務分析をするとき、財務諸表のどこを見ればいい?【基礎編】鹿島アントラーズとマンチェスターユナイテッドを例に

2020年3月18日

今回は、スポーツチームの経営分析をする際に
・財務諸表のどこに注目したらよいのか?
について、お話ししたいと思います。
鹿島アントラーズとマンチェスターユナイテッドを例に基礎的な分析をしています。

このブログを読めば「自分の応援するスポーツチームの財務諸表のどこを見ればそのチームの経営状態がわかるか」がわかります。
財務諸表なんて一度も見たことがない!という人に向けて、解説したいと思います。
スポーツビジネスに興味がある方には是非読んでほしい内容となっています。
スポーツチームにおいて、チームの勝敗だけでなく、チームの経営状況を理解することで、好きなチームの新たな一面が見えてきます

(例として挙げているチームの収益や収益率は2018年度のデータをもとに作成しています。)

財務諸表のどこに注目したらよいのか?

財務諸表で最初に注目すべきところは、
「PLの大きさ、BSの大きさ、利益」の3つです。

まずこの3つを把握できると、経営の全体像が分かります。

前回ブログで、代表的な財務諸表として、3つの表があるとご説明しました。
(損益計算書PL, 貸借対照表BS, キャッシュフロー計算書CF)
そのうちの2つ、BSとPLにまずは着目してください。
とりあえず、残りの1つのキャッシュフロー計算書は置いておいて大丈夫です。

PLの大きさ

PLの大きさは売上高を表します。
例として、鹿島アントラーズとマンチェスターユナイテッドの収益規模を比較してみましょう。

鹿島アントラーズ73億円
マンチェスターユナイテッド767億円

明らかにマンチェスターユナイテッドのほうが事業規模が大きいことがお判りいただけると思います。

この大きさの違いから、2つのチームの収益規模の違いがわかります。

以前のブログで、Jリーグチームの売上高が一般の会社と比較してどのようなものかをお話ししていますので、参考にしてください。↓

BSの大きさ

次にPLの大きさとBSの大きさを比べることで、「効率性」がわかります。
下の図をご覧ください。

これは鹿島アントラーズとマンチェスターユナイテッドの売上の大きさを同じ縮尺にして、それぞれの資産の大きさを表した図です。

見ていただけるように、鹿島アントラーズ売り上げの規模に比べて資産の規模は小さく、一方、マンチェスターユナイテッド売上の規模に比べて資産の規模は大きいです。

つまり、「鹿島アントラーズはマンチェスターユナイテッドより資産効率のいい経営をしている。」と言えます。

ちなみに、PLに比べてBSが大きくなる典型的な業界として、銀行業界不動産業界があげられます。
下の図は、銀行業界最大手の三菱UFL銀行「丸の内の大家さん」と呼ばれる三菱地所の2018年度のPLとBSです。

お判りいただけるように、PLに比べてBSがとても大きいです。
UFJ銀行のPLなんてほぼ見えませんね。
銀行は、自分の資産であるお金を貸し出してその金利で稼いでいます。
不動産業者は、自分でビルを保有して、テナント収入で稼いでいます。

これらのビジネスは一般的に資産効率は悪いといわれます。
そのため、PLとBSの大きさが上のような状態になるのです。

このように、自ら大きな資産を抱えながらビジネスを回している会社が、PLに比べてBSが大きくなります。

つまり、マンチェスターユナイテッドは、鹿島アントラーズに比べ自ら大きな資産(たとえば高額で獲得した選手)を抱えながらビジネスを行っていると言えます。

利益

利益を読めば、「収益性」がわかります。どれだけ儲かっているか、ということですね。

いくら売り上げが大きくても、同じだけ費用を使っていれば、会社として儲かることはありません

例えば、たこ焼きをいっぱい作っていっぱい売り上げたとしても、高級材料を使ったりたくさん宣伝したりして、同じだけ費用を使ったら、いい経営とは言えません。

利益の中にもいろいろな利益がありますが、まず営業利益に注目しましょう。
営業利益とは、「売上―売上原価―販管費=営業利益」で本業のもうけを表しています。
つまり、営業利益率が良ければ、本業が儲かっていると言えます。

では、鹿島アントラーズと、マンチェスターユナイテッドを比べてみましょう。

鹿島アントラーズの営業利益率は8.0%であるのに対し、マンチェスターユナイテッドは4.4%です。つまり、2018年度は鹿島アントラーズのほうが収益性の高かったと言えます。

一方、鹿島アントラーズも2017年は赤字ですし、利益率を押し上げたのはACLで優勝した影響が大きいと予測できるので、鹿島のほうが収益性があるとは一概には言えない状況ではあります。

以前、鹿島の経営状態を分析したブログを公開していますので、そちらもご覧ください。↓

余談

難しい単語が出てきますが、それらはとりあえず無視で大丈夫です。
まず「PLの大きさ、利益、BSの大きさの3つ」の理解に努めましょう
さらに上に示したように、これらをビジュアルでとらえるとより理解が深まります。

まとめ

財務諸表でまず注目すべきところ、

「BSの大きさ、PLの大きさ、利益、の3つ」
→事業規模、効率性、収益性がわかる。